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東京の賃貸オフィスでインタビューを受ける、株式会社ブラッシュアップの代表取締役社長犬飼氏

株式会社ブラッシュアップがこだわった意外な条件

社員が業務だけに集中できるように

エフェクト制作のエキスパートである株式会社ブラッシュアップ。業界の先駆け的な存在として、設立以来右肩上がりの成長を続ける同社がこの7月、文京区にある本郷BNビルに移転。

3つのこだわり条件があったというその移転の背景について、代表取締役社長の犬飼泰三氏にお話を伺いました(以下、敬称略)。

PROFILEプロフィール

株式会社ブラッシュアップ

代表取締役社長

犬飼 泰三

九州産業大学芸術学部を卒業後、後のスクウェア・エニックスの前身である株式会社スクウェアに入社、名作「クロノ・トリガー」の制作に携わる。

その後、株式会社モノリスソフトで本格的にエフェクトを学び、2010年、株式会社ブラッシュアップを設立。

『スマブラ』や『ポケモン』など大作のエフェクトを手がける

株式会社ブラッシュアップでエフェクト制作をした任天堂のスマッシュブラザーズのポスター

― まず、御社の事業内容について教えてください。

弊社はゲームのエフェクト制作を専門に行う会社です。エフェクトとは、例えばピカチュウの雷やリザードンの炎のように、さまざまな特殊効果をCGで表現したものです。

― なぜエフェクト専門の会社にしようと考えたのですか?

かつてモノリスソフトで仕事をしていた時、エフェクトをつくれる人間が足りずに困っているという話をよく耳にしていました。それなら、どこかの会社に属して仕事をするよりも、さまざまなゲーム会社からエフェクト制作を請け負うほうが業界の役に立てるのではないかと考えたんです。

こう言うと、なんだか“業界思いのいい人”みたいに思われるかもしれませんが、根底にあったのは“何にも縛られず、エフェクトを極めていきたい”という思いでした。

― これまでにどんな作品を手がけてきたのですか?

まず最初に手掛けたのは、『ラグナロクオデッセイ』という作品です。その他には『大乱闘スマッシュブラザーズ』『ポケットモンスター』『ゼノブレイド』シリーズなどを手がけてきました。

― すごい大作ばかりですね。それだけ業界内での評価が高いということですね。

すべて社員たちのおかげです。「業界に生かされている者として、単にお金を儲けるためだけに仕事をするのではなく、しっかりと業界に貢献していい作品づくりをすることが我々の使命である」ということを常日頃から社員たちに伝えているのですが、みんながそれを守り、粉骨砕身でやってくれているからこそ、素晴らしい作品に携わることができているのだと思います。

社員が業務だけに集中できるよう、トイレはフロアの外に

オフィスビル1階にあるマルエツプチ

― オフィス移転を検討された背景について教えてください。

社員が増える度にオフィスを拡張してここまでやってきたのですが、さすがにもうこれ以上は難しいとなった頃、ちょうど前のオフィスが老朽化で取り壊されることになったんです。

― 物件を探す上で絶対に譲れない条件はあったのでしょうか?

駅から近いこと。飲食店が近くにあること。そして、トイレがフロアの外にあることの3つです。トイレがフロアの中にあると自分たちで掃除をしなければならなくなるため、外部の方が掃除をしてくれるところがいいと考えていました。

― 物件選びで苦労したのはどんな点でしたか?

やはりトイレですね。いいなと思っても、フロアの中にトイレがある物件が大半。しかし、そこはどうしても妥協できませんでした。トイレ掃除は社員のストレスが最も溜まる部分。ですから、トイレ掃除の必要なく、社員が業務だけに集中できる環境をつくりたかったんです。

― こちらの物件を選んだ決め手について教えてください。

3つの条件をすべて満たしている物件だったことに加え、1階にマルエツプチが入っていたことですね。これが思いのほか良くて、マルエツプチでデザートを買ったり、飲み物を買ったり。こちらに移転してきたのが7月後半だったんですが、うだるような暑さの中、すぐ下に専用の冷蔵庫があるのは最高の環境だと実感しています。

― みなさんからの反応はいかがですか?

大好評ですね。やはり食事は大きな楽しみのひとつですから、飲食店の充実も欠かせない条件でした。以前のオフィス近くにもおいしいラーメン店や中華料理店はありましたが、こちらにはさらにイタリアンやフレンチのお店もあり、食事する場所には困りません。

― 特にお気に入りのお店があれば教えてください。

斜向かいにあるカジュアルフレンチのお店がボリューミーでありながらリーズナブルで気に入っています。歩いて5分ほどの場所にあるイタリアンのお店も、太麺でもっちりとしたパスタがおいしいのでおすすめです

個人的にぜひ一度行っていただきたいのが『麺屋鈴春』という鶏出汁のラーメン店。塩ラーメンや醤油ラーメンの他につけ麺もあるんですが、麺が絹織物のように美しくて。これまで多くのラーメンを食べてきましたが、間違いなく10本の指に入りますね。端麗で奥深い、オンリーワンの味です。

3本の柱を太くすることで会社と業界の発展を実現したい

ブラッシュアップのロゴの前でインタビューを受ける株式会社ブラッシュアップの代表取締役社長犬飼氏

― スリーウェーブを利用された感想を聞かせてください。

最初のオフィスをご紹介いただいて以来、スリーウェーブさんとはもう13年のお付き合いになります。前回も非常に親身になって探してくださったので、今回も同じご担当者さんにすべてお任せしました。その結果、期待を上回る物件をご紹介いただき、大変満足しています。

― スリーウェーブで今後オフィス移転を検討されている方に向けてメッセージをお願いします。

大手の不動産会社だと担当者がコロコロ変わったり、会社の意向によって振り回されることもあるかと思います。しかし、スリーウェーブさんであれば、しっかりと顔の見えるお付き合いと、気持ちの通じ合ったやりとりができます。それが一番の魅力であり、おすすめポイントですね。

― 最後に、今後の展望を聞かせてください。

弊社は設立当初から3本の柱を打ち立てています。まず1つめが現在手掛けているエフェクト事業の人材斡旋。2つめがエフェクトツールの販売。そして3つめが教育です。エフェクトツールの販売は2年前から展開していますが、その柱を安定させたら、次の柱である教育に取り組みたいと考えています。

専門学校でエフェクトを教えられるところがまだ少ないこともあり、セミナーなどで学生さんたちの支援をできたらと。そうして教育を確立できれば、弊社から人材の派遣もできますし、そこで学んだ人間がツールをつくることもできるようになります。それは、エフェクトを知らない人間がつくるより、遥かに血肉の通った、業界が欲しがるツールになるはずです。

そして、この3つがより太い柱となり、きれいに回っていくようになれば、ブラッシュアップという会社もますます発展しますし、業界の発展にもつながるでしょう。まだまだ長い年月がかかるかもしれません。しかし、私が引退したとしても、社員たちが必ずや実現してくれると信じています。

まとめ

トイレがフロアの外にあることを譲れない条件としたお話からは、社長が社員のみなさんを本当に大切に思われているということが伝わってきました。社員のモチベーションを高く保つため、できることを常に考え、行動に移す。

業界から高く評価され、大作のオファーが相次ぐ理由の一端を垣間見た気がします。撮影中も次々とお茶目なポーズを決めてくださったサービス精神旺盛な犬飼社長。そんな社長一押しのラーメン店にも、近々足を運んでみたいと思います。